非金属メガネフレームの作製
概要:MRI内で脳活動を計測する際、視力矯正が必要な方はメガネが必要となりますが、その際、金属フレームのメガネはMRI内の磁気と反応してしまいます。そこで非金属製のメガネフレームが作製できないかと相談があり、メガネ店などでよく使用されている検眼レンズを固定するスリットの付いたフレームの3Dモデルを作成し、実際に造形しました。
MRI(磁気共鳴装置)は磁気を用いて身体の内部構造を撮影する装置です。
ヒトの脳活動の計測のため、MRI内でなにか作業をする研究が多く行われており、その際には視力の矯正が必要な方もいらっしゃいます。MRIでは磁気を使用するため、内部では金属製のものを身に着けることが推奨されません。メガネフレームも金属製のものが多いため、装着することができません。コンタクトレンズの使用も選択肢ですが、カラーコンタクトレンズや縁取りの入ったコンタクトレンズは内部に金属を含んでいるため、磁気に影響されて発熱する可能性があります。
そこで、非金属のプラスチックを材料に、3Dプリンタでメガネフレームが作製できないかとご相談いただきました。
一般的なメガネの大きさや、成人の瞳孔間距離などを調査し、得られた値から、メガネフレームの3Dモデルを作成し、実際に造形いたしました。
まずは形状やサイズのチェックの意味をこめて、ポリアミド(PA12)を材料に造形いたしました(造形は DMM.make 様を利用させていただきました)。
しかし顔に装着するとざらざらとした質感が気になるのと、強度に不安があるとのことで、PA12製のフレームの研磨を行うとともに、アクリルを材料とした造形を行いました。写真ではわかりづらいですが、アクリルはできあがりの表面がつるりとなめらかになっております。
レンズはレンズリム外径38mmのものに対応しており、片眼で2枚までレンズを差し込めます。使用用途が特定の個人用ではなかったため、テンプルや先セル(耳にかける部分)は備えず、マジックテープによる固定方法を選択いたしました。
サイズ:145 x 45 x 23.7 mm (マジックテープ含まず)
本品は国立障害者リハビリテーションセンター研究所 脳機能系障害研究部 高次脳機能障害研究室(幕内研究室)へ納品させていただきました。
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